屋根の修理は火災保険の対象になる?条件とともに解説
2024.06.26 お役立ち情報
屋根はメンテナンスをしていても、台風など思わぬ天災で修理が必要になることがあります。少しでも費用を抑えたい修理、場合によっては火災保険の対象になることがあるのをご存知でしたか?
この記事では、屋根の修理にはどれくらいの費用がかかるのかや、屋根の修理が火災保険の対象になるのはどんな時かについて解説します。また、火災保険申請の際の手順についてもご説明します。
保険の申請というと、非常に手間がかかり大変というイメージがありますが、天災での火災保険の申請は起きた事実がはっきりしている分、難しいことはありません。
戸建ての家であれば、多くの場合火災保険に入っているはずです。せっかく保険料を払っているのですから、火災保険を賢く利用しましょう。
屋根修理にかかる費用相場
屋根の修理には、どれくらい費用がかかるものなのでしょうか。以下、費用の目安を表にまとめました。費用は施工面積や使用する材料などによって異なるため、あくまでも参考程度にとどめてください。
なお、ここでの「1棟当たり」は30坪程度の2階建てを想定したものであり、修理費用に足場代は含みません。床面積30坪(約99平米)程度の2階建ての家で勾配のある屋根の場合、リフォームの際に組む足場の面積は250~400平米程度です。外周の足場と屋根面の足場になります。管理費、消費税も含めて30~40万円程度が目安でしょう。
また、「1人工」とは、住宅の新築やリフォーム工事について、大工職や塗装工職などの一人の専門職が、「1日がかりで完了する作業量」のことを指し、「いちにんく」と読みます。
修理方法 |
修理内容 |
費用の目安 |
塗装 |
劣化した塗膜の上から新たに塗料を塗ることで屋根の風雨や紫外線に対する耐性を高める |
1棟当たり30~70万円 |
葺き替え |
屋根材、防水シート、下地板(野地板)を新しいものに交換 |
1棟当たり100~170万円 |
カバー工法 |
既存の屋根の上から新しい屋根を被せる工法 |
1棟当たり80~150万円 |
瓦部分補修 |
一部の瓦が破損した場合、壊れた瓦を新しい瓦に取り替える。壊れた瓦が1枚でも、周囲の5~10枚程度を一度外して交換を行うのが一般的。 |
1人工として4万円程度 |
板金交換、貫板 |
屋根材を固定している金属の交換。 |
1人工として4万円程度 |
漆喰補修 |
屋根瓦の接着剤である漆喰の補修工事。 |
1人工として4万円程度 |
雨樋交換 |
屋根に落ちた雨水を下に流す雨樋の交換。足場を立てることが多い。 |
角樋の場合1m当たり4100~4800円。そのほか金具・部品費用等が加算される。 |
火災保険の補償内容とは
火災保険は火災の場合だけでなく、契約の範囲内で自然災害による損傷などでも申請が可能です。ですから、台風や雪などの影響で、屋根の修理・改修が必要な場合には、申請すれば火災保険が適用される場合があります。
火災保険には、大きく分けて以下の3種類があり、保険会社によっても補償の内容はさまざまです。
- 住宅火災保険
- 住宅総合保険
- オールリスクタイプ
「住宅火災保険」は、家屋や家財が対象です。火災や落雷、爆発事故、破裂事故、風、ひょう、雪などの災害による損害を補償します。「住宅総合保険」は、住宅火災保険の保証範囲にプラスして落下物、衝突、盗難、水災、水濡れなどによる損害を補償する保険です。「オールリスクタイプ」は、住宅総合保険でもカバーしきれない敷地外や、少額の損害でも補償対象になるなど、広い範囲に対応します。火災保険は、火災での保険適用よりも、水災や風災などでの保険適用の方が多いため、「住まいの保険」と呼ばれることもあります。
火災保険の申請には、いつ、どのような災害で被災したのかを明確にした上での修繕の見積もりが必要になります。一般的なリフォーム会社の修繕の見積もりを保険会社におくり、保険適用を確認してから、修繕工事を行う流れが一般的です。保険の窓口でまず保険の適用範囲を確認し、手続きの流れに従って火災保険を活用すれば、修理費用を保険でまかなえます。
屋根修理のための諸費用
火災保険が適用となる屋根修理の諸費用には次のものがあります。
名称 |
内容 |
損害範囲確定費用 |
屋根修理会社が行う、現地調査および見積もり書作成費 |
仮修理費用 |
本格的な修理に入る前の応急処置費用 |
残存物片付け費用 |
はがれ落ちた瓦などの処分費用や清掃費用。屋根の修理会社に引き取ってもらい、処分してもらう費用の請求ができる場合が多い。 |
屋根以外の修理費用
また、火災保険が適用となる屋根以外の修理費用には以下のものです。なお、契約内容や破損の原因によっては保障を受けられない場合もあります。詳しくは契約書類を確認するか、契約している保険会社に問い合わせるかしてください。
名称 |
備考 |
外壁のはがれ |
はがれでなくても自然災害による損傷であれば火災保険の対象。 |
庇板金(ひさしばんきん)のめくれ |
庇板金とは外玄関や窓の上の外壁に取り付けられた出幅が短い屋根のこと。 |
窓の割れ |
窓は建物の一部なので建物を対象に入れていれば対象となる。 |
雨樋の歪み |
雨樋は建物の一部なので建物を対象に入れていれば対象となる。 |
軒天のめくれ |
軒天とは建物の外壁から出っ張っている屋根の裏側部分のこと。 |
破風板(はふいた)の歪み |
破風板は屋根の破風に取り付ける板のこと。なお、破風板と軒天は別のパーツとして扱われる。 |
雨戸・シャッターの破損 |
機能的に問題がある破損(擦り傷などは対象外)は火災保険が適用になる。 |
テレビアンテナの破損 |
テレビのアンテナは建物の一部とされるため、建物を対象に入れていれば保険で直せる。 |
関連記事:破風板とケラバのちがいとは?
建物付属品の修理費用
以下のような建物付属品について、全額ではないものの一部補償対象となるケースがあります。損害を受けたものがあれば、忘れずに申請しましょう。
- 門のゆがみ
- 塀のくずれ
- 物置のへこみ
- エアコン室外機の破損
- カーポートの破損
- バルコニーテラスの破損
屋根の修理で火災保険が適用される場合がある
例えば台風で瓦が飛んだ、ひょうで屋根が傷ついたなどといった自然災害による損傷の修理の場合には、火災保険が適用されることがあります。
先にも述べたように、火災保険は、契約の範囲内であれば自然災害による損傷などでも申請が可能なので、風災・ひょう災・雪災などのような災害で屋根の修理が必要となった場合には、火災保険が適用できないか保険会社に問い合わせてみることをおすすめします。
屋根の修理で火災保険が適用されない場合
屋根の修理で火災保険が適用されないケースもあります。
まず、経年劣化による修理の場合は、災害によるものではないので対象外となります。また、故意に破損した場合も対象外となることが多いです。
ただし、住宅総合保険やオールリスクタイプなど、保障内容の手厚いタイプの保険に入っている場合は、故意でなければ人災によるものでも補償される場合があります。保険証書や保険内容をよく確認してみましょう。
火災保険が適用されて屋根修理の費用が無料になる場合がある
では、火災保険が適用されて屋根の修理代金が補償される災害には、どのようなものがあるのでしょうか。
風災・ひょう災・雪災と認められる
火災保険が適用される災害として、風災・ひょう災・雪災が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
風災とは
風災とは、台風や突風、竜巻、暴風などの強い風による災害を指します。日本は台風の通り道となることが多く、暴風や突風、竜巻による被害が多いです。
風災はあくまでも風による被害で、台風で降った雨や台風が原因の洪水は水災として区別されます。
平均風速がおおむね10m/秒を超える場合には、強風に夜災害が起こるおそれがあるとして強風注意報が発表され、平均風速がおおむね20m/秒を超えて重大な災害が起こるおそれがあるときは暴風警報が発表されます。
風災による被害として想定されるものには、以下のようなものが挙げられます。
- 強風で屋根の瓦が飛び、そこから雨漏りして家具が濡れる
- 強風で庭に置いていた物置が倒れ、隣家の塀を壊す
- 竜巻で飛んできたもので窓ガラスが割れる
- 強風で自転車が倒れ破損する
- 突風でカーポートが傾く
風は日本全国どこでも強く吹く可能性はあり、毎年多くの被害が出ています。
関連記事:意外と知らない火災保険の「風災」補償と具体例について
ひょう災とは
ひょう災とはひょうによる被害のことです。ひょうとは直径が5mm以上の氷の粒を指し、5mmより小さいあられとは区別されます。ひょうの大きさに上限はなく、気象庁のホームページによると、5cm以上になるものもあるそうです。
2014年(平成26年)6月に東京都三鷹市周辺で降ったひょうは30センチ程度積もり、季節外れの雪景色としてニュースになりました。このようにひょう災は局地的な被害に遭うことが特徴です。
ひょう災による被害としては、次のようなものが考えられます。
- 大粒のひょうが降って太陽光発電が破損した
- ひょうで天窓のガラスが割れてしまった
ひょうは氷の塊なので、雪に比べて降って来た時の傷害能力が高いのが特徴です。
雪災とは
雪災とは豪雪や雪崩による被害のことです。雪は水分を多く含むので、高く積もるとかなりの重量になり、家屋が歪んだり潰れたりといった被害が出ます。
火災保険においては、雪の重みや雪崩が原因で家に被害が出たときに雪災として補償されます。ただし、雪が解けて洪水になる融雪洪水は雪災に含まれず、水災として補償されます。
2021年(令和3年)1月に起きた大雪(令和3年豪雪)では、建物損害による保険金の請求が6万件を超えた例があるように、大雪は大きな被害をもたらします。
雪災による被害の例としては以下のようなものが考えられます。
- 雪の重みで軒がゆがんでしまった
- 雪崩(なだれ)にまきこまれて自宅が倒壊した
被災してから3年以内である
火災保険の申請条件は、被災してから3年以内であることです。中には「早く申請しないと火災保険が使えなくなる」などといって契約をせかす業者もいますが、被災してから3年なのでよほど取り掛かりが遅くない限り、じっくり業者を比較検討してからでも間に合います。
すでに修理が終わっている屋根修理でも以下の書類があれば請求できる場合があります。
- 修理工事を行う前と後の写真
- 当時の工事業者の見積書
- 罹災(りさい)証明書
これらの書類が揃っていれば、火災保険の申請に難しいことは何もありません。不明な点は保険会社の担当者に確認しながら、申請手続きを進めましょう。
修理費用が20万円以上である
多くの火災保険は、20万円未満は適用外となっており、修理費用が20万円以上にならないと火災保険を使用できないことがあります。
例えば修理金額が15万円だった場合は保険適用外ですが、30万円だった場合は30万円まるまる保険金としてお金が下ります。
「うちは部分修理でそんなに金額がかからないから…」と諦めるのは早いです。どんな屋根でも屋根工事の場合は、安全対策が必要で足場を組みます。足場代は10万円以上必要となるため、比較的軽症の被害でも火災保険の適用条件を満たす場合が多いのです。
また、比較的新しい契約の火災保険だと、免責金が決まっていて、修理費用から免責金分を引いた金額が保険金として支払われるものもあります。どのような契約を結んでいるのか、保険証書等で確認してみましょう。
火災保険の申請の流れ
火災保険を申請する時の流れはどうなっているのでしょうか。
保険会社から申請書類を入手する
火災保険会社に連絡して屋根の被害状況を伝えると共に、申請に必要な書類を入手します。
必要な書類は保険金請求書、事故内容報告書、屋根修理の見積書、罹災を証明する写真が一般的ですが、必要書類は保険会社によって異なる場合があるので注意が必要です。
また、地域一帯が被害に遭うような大きな災害の場合、書類の請求が集中して書類が届くのに1ヶ月近くかかる場合もあります。被害を受けたら、なるべく早く保険会社に連絡して申請書類をもらいましょう。
修理業者から必要な書類をもらい保険会社に提出する
保険会社に保険の申請をするのに、修理業者の見積書が必要です。多くの業者は、「火災保険を使っての修理を考えている」と伝えればそのように対応してくれます。
なお、実際に修理業者に依頼するのは、火災保険から保険金を受け取った後になるので、注意しましょう。
保険会社が現場調査を行う
申請者から提出された書類を元に、保険会社の鑑定人が現場に出向き、調査・鑑定を行います。鑑定人の調査には保険申請者の立ち会いが必要になります。
保険金を受け取る
鑑定の結果、保険が適用できるかどうかが決まり、適用できる場合には受け取ることができる保険金額が確定します。なお、保険金額は必ずしも申請時の見積書の金額と同じになるとは限りません。
金額が決まったら保険金が振り込まれますので、業者に依頼して修理を始めましょう。
火災保険を利用する悪徳業者の事例
火災保険を利用して屋根の修理ができる制度を悪用する業者が後をたちません。被害の例も年々増加傾向にあるので、注意が必要です。以下、具体的な事例をご紹介します。
事例①根拠なく無料で屋根修理できると言ってくる
根拠もなく無料で屋根を修理できる、と言って見積もりを取らせようとする業者がいます。
実際には火災保険がおりる条件があるのですが、このような業者は経年劣化で破損しているものを「災害が理由で屋根が破損したといえばよい」とそそのかし虚偽の理由で保険金を請求させようとします。
もちろん、虚偽の申請が発覚すれば不利益を被るのは申請者です。甘い言葉に騙されないようにしましょう。
事例②手数料を請求してくる
火災保険の申請書類を代行作成したりして、その分の手数料を請求してくる業者もいます。火災保険の申請書類の作成は比較的簡単ですし、不明点があれば保険代理店の担当者に質j者すれば教えてくれるはずです。
下手に業者に書類作成を頼んでトラブルに巻き込まれないようにしましょう。
事例③いつまで経っても着工しない
業者の指示に従い保険金を受け取ったうえで、要求された通りの手数料を支払います。しかしその後に工事が開始されず、業者とも連絡がつかなくなるケースがあります。これは、保険金が工事着手前に支払われる制度を悪用したものです。手数料がかかると言われた時点で、その業者は疑った方が良いでしょう。
事例④わざと屋根を破壊される
見積書作成の際に、わざと屋根を破壊し、高額の契約を結ばせようとする業者もいます。屋根だけに立ち会いが難しいケースもありますが、事前の相談の段階で疑問点が残るような業者とは縁がないものと思い、別の業者に見積もりを依頼するのがよいでしょう。
関連記事:屋根修理の詐欺に注意!被害を防ぐ方法とは
屋根修理で火災保険を利用する際のポイント
屋根の修理で火災保険を利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
ポイント①なるべく早く申請する
ポイントの1つ目は、なるべく早く申請することです。火災保険の申請は、修理が必要になった時点から3年以内であればいいこと、必要な書類が揃っていれば工事後の申請も可能であることから、ついつい後回しにしがちです。
しかし、3年は長いようであっという間です。気づいたら時間が経っていて申請できなかったということのないように気をつけましょう。
ポイント②保険の契約者が申請を行う
保険の申請は保険の契約者が行いましょう。
書類の作成等は業者に代行してもらうこともできますが、保険会社の鑑定に立ち会うのは申請者です。契約者が申請することで、スムーズに申請できます。
ポイント③火災保険の審査が通ってから修理を依頼する
火災保険で保険金がおりるかどうかは、審査をしてみないとわかりません。保険金が想定していた金額よりも少ない金額の場合もあります。
修理業者との本契約は、保険金がどれくらいおりるのかを確認してからにしましょう。
ポイント④優良な業者を選ぶ
4つ目のポイントは、優良な業者を選ぶことです。優良な業者の選び方については、次の章で詳しくご説明します。
屋根修理の業者の選び方
火災保険を使った屋根修理は、優良な業者を選ぶことがポイントだということがわかりました。業者は、次のような観点から選びましょう。
地域に根差した業者を選ぶ
その業者が、修理の現場の近隣にある、地域に根ざした業者なのかどうかもひとつのチェックポイントです。車で60分以内がひとつの目安となります。
屋根工事は水漏れなどが起こると厄介です。トラブルが起こった時にすぐ来てもらえる距離の業者であれば安心して依頼できます。特に全面改修の場合は、工事期間も長く、防水シートを剥がしたり下地板(野地板)の張り替えや張り増しをしたりと、防水面が弱くなる期間も出て来ます。
また、地域に根ざした業者であれば、何か悪いことがあればすぐ評判になるため下手なことはできないだろうという抑止力も働きます。
これらのことから、地域に根差した業者をおすすめします。
修理実績が豊富な業者を選ぶ
修理実績が豊富な業者の方が、いろいろなケースの経験があり臨機応変に対応してもらえる場合が多いです。
手広くリフォームや外装を手掛けている業者の場合、屋根が得意分野ではないこともあります。ホームページ等で施工例を確認することで修理実績を確認することができます。ただし、大手工務店やリフォーム業者は社としての施工例で、どの職人さんがくるかわからないというリスクはあります。そういった場合や、小さな業者でホームページを持っていない場合などには経験年数などを聞いてみてもよいでしょう。
アフターサービスが充実している業者を選ぶ
アフターサービスや保証は充実しているのかどうかも重要な視点です。
屋根の修理における修理業者との関係は、工事が終わったら終わりではありません。顧客は修理をした後の家でずっと生活していきます。その中で、不具合やちょっとした気になることが出てくることもあるでしょう。
どの業者も、アフターサービスについて、「〇年ごとに無料点検があります」など、アフターサービスについても説明があると思います。小さな不具合が見つかった場合はどうなるのか、トラブルの対応はしてもらえるのか、どこまでが無償でどこからが有償なのかといった、工事が完了した後のこともきちんと確認した上で依頼する業者を選びましょう。
火災保険を使った屋根修理は信頼できる業者に依頼しよう
風災・ひょう災・雪災などの天災による被害であれば火災保険を使った屋根修理ができること、火災保険の申請は書類さえ揃えば比較的簡単なこと、業者選びには注意が必要なことなどがわかりました。
屋根は家の中でも重要な部分で、一刻も早く修理したいものです。しかし、きちんと業者を選ぶことで、その先も満足できる修理ができます。
信頼できる業者に依頼して、火災保険を使って適切な修理を行いましょう。
群馬県で屋根修理を検討している方は、群馬県NO.1の施工実績を誇る「ミヤケン」にご相談ください。屋根工事、塗装、リフォームの有資格者が多数在籍しているため、安心してご依頼いただけます。建物の調査は無償で行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。