FRP防水のメンテナンス法とメリット・デメリットについて
2021.04.29 防水関連
ベランダやバルコニー、屋上など、住宅の外部にある水平部分には必ず防水工事が必要です。
これらの場所にしっかりと防水工事が行われていない場合、雨漏りなどの不具合につながってしまいます。
防水工事にもいくつか種類がありますが、今回は近年戸建て住宅でよく使われているFRP防水について、再施工するタイミングと手順をご紹介します。
■FRP防水とは?
FRP防水とはガラス繊維や炭素繊維と樹脂を複合して使用する、「繊維強化プラスチック」のことを指します。
軽くて強度の強い素材なので、様々なものに利用されています。
しかし、強い素材とは言っても、メンテナンスは必要です。約10年~15年ほどで表面の塗膜が劣化していき、ひび割れやはがれなどのが発生します。
防水の下地がふかふかしていなければ、既存の防水の上に再施工するだけで済みますが、下地にまで影響が出た場合が、ベランダ床の張替えをする必要があります。
それでは、ここからFRP防水にはメリットとデメリットについてご紹介していきます。
まず一番のメリットは衝撃や摩耗に強いことです!
お洗濯ものを干したり歩行するベランダやバルコニーに適しています。
さらにつなぎ目がないので安全かつ、耐水性がよく、ちょっとしたことでははがれにくいのも特徴です。
防水自体が非常に軽量で作業効率も非常によいためリフォームするときも安心です。
FRP防水は防水層の重さが1㎡あたり3~5kgと比較的軽くて強度が高いのが特徴です。
さらに硬化スピードが早く、施工から1~2時間程度で防水層の塗膜が硬化する特性があります。
硬化スピードが早いので、その後のトップコートの塗布もすぐに行えるため工期も1日で完了することができます。
一方、デメリットはひび割れしやすいことです。
衝撃や摩耗には強いものの、伸縮性があまりなく、ひび割れしやすい素材です。
鉄筋コンクリートの建物や、木造でも通常のベランダやバルコニーの広さであれば問題ありませんが、面積が広いとひび割れなどが起きやすくなるのでお勧めしません。
また、木造は揺れや荷重によるたわみなどが起きやすいので、木造の広い面積を防水する場合は不向きです。
■FRP防水の再施工のタイミングは?
FRP防水は定期的な塗り替えが必要です。
メンテナンスの時期の目安は、トップコートは5年程度、防水層は12年程度になります。
ただし、実際の環境下だとこの目安よりも早くメンテナンスが必要になる場合もありますので、あくまでも目安と考えておいて下さい。
メンテナンスを先延ばしにするとトップコートが劣化してはがれるなど、防水層を保護できずに傷めてしまう可能性もあります。
トップコートが傷み築年数も浅い場合には、まずはトップコートを塗り替えることをお勧めします。
もしトップコートも傷んだ状態で防水層自体も劣化が進んでいるようだと、防水層から再施工をしましょう。
■FRP防水工事の再施工手順
FRP防水工事の再施工の手順は以下のようになります。
- トップコートの塗り替え
1.高圧洗浄・清掃
2.下地調整
電動グラインダーなどを利用したサンディング(やすり)で、残った塗膜をしっかりと除去します。
3.アセトン拭き
FRP表面の油膜を取り除くためにアセトンで拭き取りを行います。
4.下塗り
プライマーを塗布し、トップコートとの密着性を高めます。
5.上塗り
プライマーが乾いたら、トップコートを2回塗布します。
- 防水層の貼り直し+トップコート
1.高圧洗浄・清掃
2.防水層を目荒らしする
防水層を全体に目荒らしして、上塗りの準備をする。
3.防水層を再施工
ガラス繊維と樹脂で既存の防水層を上塗りするように再施工する。
4.アセトン拭き
FRP表面の油膜を取り除くためにアセトンで拭き取りを行います。
5.下塗り
プライマーを塗布し、トップコートとの密着性を高めます。
6.上塗り
プライマーが乾いたら、トップコートを2回塗布します。
FRP防水は部分的な補修も可能です。
ひどい傷みが部分的なものであれば、その部分だけに防水層を再施工してから全体にトップコートを塗り替えることで対応できます。
まとめ
今回はFRP防水について、再施工するタイミングと手順についてご紹介しました。
FRP防水は近年戸建て住宅でよく使われる防水方法になっています。
軽くて強度が高く、施工期間も1日と短く済み、つなぎ目ができないので防水性能もよいとFRP防水にはメリットがたくさんあります。
またこの防水性能を維持するためには定期的なメンテナンスが必要になります。
とくにFRP防水はトップコートによって、紫外線からの影響を少なくしていますのでトップコートが傷んだ状態だと、防水層自体の傷みに進行する可能性があります。
トップコートに傷みが見られたら、すぐにメンテナンスを行った方がよいでしょう。
適切な防水性能を維持することで、雨漏りなどの重大な状況にはなりませんので、FRP防水の工事のタイミングを見逃さないようにしましょう。