屋根の形状の特徴とメリット・デメリットについて
2021.08.19 お役立ち情報
建物には紫外線や雨からお家を守るために屋根が設置されます。その屋根には様々な形状やそれぞれ特徴、メリット・デメリットがあります。
そこで今回は屋根の豆知識として、それぞれの形状の特徴やリスクなど解説していきます。
■切り妻(きりづま)
本を開いてかぶせたような屋根の形で、古くから使われている屋根の形状です。
最大の特徴としては価格が安い点でしょう。シンプルな形なので施工の時間も短いです。
ただし、単調な形なので個性が出にくいといったデメリットを持っています。
■寄棟(よせむね)
屋根の頂点から軒先に向けて4方向に屋根が延びているシンプルな形状です。4方向に面が分散されていることから、風邪や雪の影響も分散され耐久性や耐風性が高い特徴を持っています。
一方、屋根裏収納を作りたい場合はスペースの確保が難しいため、収納の確保を条件にしている方は注意しましょう。
■方形(ほうぎょう)
ピラミッドのような形で四角錐の形状をしてます。
寄棟屋根と同じように4方向に屋根が延びているので、風や雪の影響を分散させる力を持っています。
ただし、大棟がないことから換気をとれる部分が屋根の頂点しかないため、換気能力が低いデメリットです。
■陸屋根(りくやね)
陸屋根は、傾斜のない形状をした屋根のことをいい、水平屋根と呼ばれることもあります。
傾斜がほぼないので、屋根上のスペースを有効活用することも可能です。太陽光パネルが設置しやすい魅力もあります。
ただし、傾斜がないことで雨がうまく流れずに雨漏りが発生するケースもあります。雨漏り対策を十分に行うことが大切でしょう。
■片流れ(かたながれ)
片流れは一方向のみに傾斜が形状のことを言います。構造がシンプルで建築コストがかからない点が最大の魅力でしょう。
屋根裏のスペースも確保できるので、収納スペースの確保も可能です。
ただし、雨樋が一方向のみにしか設置できないため、一点に雨水が集中してしまいます。負担が大きくなってしまうため劣化が早くなってしまう可能性があるでしょう。
■招き屋根(まねきやね)
切り妻屋根の一方向の屋根面を伸ばし、もう一方の屋根面を短くした形状をしているのが招き屋根といいます。
新築住宅では積極的に採用されている屋根で、その理由としては多くの魅力を持っていることが挙げられます。
屋根裏に大きな空間を確保できる、耐風性がある、費用が抑えられるなどの様々な魅力があり、満足のいく住宅を実現できるメリットがあります。
考えられるデメリットとしては、雨漏り対策のみです。雨漏りがしやすいわけではありませんが、屋根と外壁が接触している雨仕舞いの部分をしっかりと接着しないと雨漏りのリスクが上がるので注意が必要です。
■入母屋(いりおもや)
切り妻屋根と寄棟屋根魅力を併せ持つのが入母屋屋根です。
寄棟屋根の大棟を一段高くして、部分的に切り妻屋根にしたような形状で「お屋敷」という言葉が非常に似合う屋根です。
耐風性もあるので、強風の多いエリアに取り入れることで安心して過ごせるでしょう。
一方、コストがかかる点がデメリットです。また、入母屋を取り扱う職人が減少しているため、メンテナンス費用も高額です。
■しころ屋根
寄棟屋根の上部に切り妻屋根がかぶさっているような形状をしており、寺院で採用されることが多い根です。
一般的な住宅に採用されるケースは稀ですが、非常に厳かな雰囲気をした屋根なので高い魅力を持っています。
しかし、つなぎ目が多く雨漏りが発生するリスクが高いという点がデメリットです。
■越屋根(こしやね)
屋根の頂部に採光や煙抜きをするための別の塔を持っている屋根を越屋根と言います。
多くの光を室内に取り入れることができるので、明るい空間を作り出せるでしょう。高い位置に開口部があるため、熱気が抜け通気性が良くなる点も大きな魅力です。
一方、形状が複雑であることから施工費用が高額である・雨漏りがしやすい形状でもあるので、しっかりと対策をとることが大切でしょう。
■差し掛け屋根
屋根の片側を伸ばし、反対側の屋根を短くしたアシンメトリーの形状をした屋根のことを差し掛けやねといいます。
2階部分にスペースが確保できるので、屋根裏収納のための空間を確保できます。家族が多い家庭やものが多い家庭には向いているでしょう。
また、太陽光発電を設置すると発電率が高い特徴を持っています。
屋根の勾配が、太陽光パネルが理想としている30度に近いため発電率にも影響を与えてくれます。
一方、屋根の接合部分から雨漏りがしやすいので、雨漏り対策を施工時に施すことでリスクを抑えることができます。
差し掛け屋根の雨漏り原因とメンテナンスについて、詳しく紹介していますので、こちらも是非ご覧ください。
【差し掛け屋根の雨漏り原因とメンテナンス方法】
■半切妻屋根(はんきりづまやね)
切り妻屋根の棟を一部分だけ切り取った形状をしているのが半切り妻屋根です。他にも、はかま腰屋根やドイツ屋根と呼ばれることもあります。
道路斜線制限や日影規制といった規制から逃れることができる形状です。
もし、高さ道路斜線制限に引っかかってしまった場合は、半切妻屋根に変更することで制限内に納めることができるかもしれません。
一方、構造が複雑であり接続部も増えるので雨漏りのリスクが高まってしまう点がデメリットです。
■バタフライ
蝶々の羽が広がったようなV字型の形状をしている屋根をバタフライと呼びます。
屋根の端が一番高く、中心にいくにつれて低くなって形状が特徴です。デザイン性のある形状をしているので個性を出したい人に向いているでしょう。
一方、屋根の谷の部分に雨水や雪が溜まりやすいので雨漏りを引き起こすリスクが高まります。
特に雪が溜まってしまうと雪かきが必要になるので、雪が多く振る地域には向いていないといえるでしょう。
■のこぎり屋根
片流れ屋根が連なった屋根をのこぎり屋根といいます。群馬県桐生市の伝統工場で採用されている屋根でもあります。
屋根の向きを北側にすると、光量の変動を少なくできるので明るさを長時間保つことができます。
一方、凹(へこ)んでいる屋根の部分に雨が溜まりやすいので、雨水をうまく排出できるような工夫を施すことが重要です。
■M型屋根
その名の通り、アルファベットの「M」のような形をした屋根のことです。
群馬県内では見かけることは稀であり、個性を出したいご家庭に向いている屋根の形状でしょう。
一方、屋根がくぼんでいる中央部分に水が溜まりやすいので、雨漏りを発生させないように点検やメンテナンスが必要となります。
■マンサード屋根
別名、腰折れ屋根とも呼ばれ屋根が途中で折れ曲がっているような形が特徴です。
屋根の途中で勾配が急になるため水はけが良く、コケが発生しにくい点がメリットです。
一方、勾配が急に変わる境目部分で一度屋根材が途切れてしまうので、雨仕舞いを施す必要があります。
その処理が不十分であると雨漏りが発生するリスクが高まるので、業者選びが重要となるでしょう。
■ギャンブレル屋根
切り妻屋根を五角形にしたような形状で外側に向かって屋根が二段階に勾配が急になっています。
傾斜角が二段階になるので、屋根に雪が積もることを抑える作用があり、北海道などの積雪が多い地域で採用されています。
一方、傾斜があるので太陽光パネルの設置には不向きです。太陽光発電に興味がある場合には違う屋根の形状にするか、他の屋根への設置を検討しましょう。
■かまぼこ屋根
その名の通り、かまぼこのような丸い形状をした屋根です。主に体育館などで採用されることが多く、勾配が急で水切れが良い魅力を持っています。
一方、屋根の頂上付近は傾斜が少ないので雨水が溜まってしまうデメリットがあります。定期的に点検をし、不具合がないかチェックする必要があるでしょう。
■複合タイプ屋根
様々な屋根の形状を合わせた形状を複合タイプ屋根といいます。
例えば、切妻のデメリットである単調な形を、バタフライの個性的な形を活用して見た目を華やかにする等、デメリットを他の屋根のメリットで補うことができます。
そのため、それぞれが持っているデメリットを理解しながら形状を検討していきましょう。
■屋根の特徴理解して選びましょう
屋根といっても上記のように様々な種類があります。
どの屋根にもメリットやデメリットが存在するので、理解してから屋根のタイプを選んでください。
デメリットがあっても、施工によってリスクを抑えることは可能なので、業者と相談しながらどんな屋根が良いのか検討していきましょう。
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