ウレタン防水のメリット・デメリット・メンテナンス目安とは
2021.05.22 防水関連
屋根の防水施工の一つにウレタン防水という工法があります。
今回はウレタン防水のメリットとデメリット、そしてメンテナンスの目安について解説します。
■ウレタン防水とは
ウレタン防水とは、樹脂が化学反応により硬化する特性を利用して、屋上やベランダなどに防水の膜を形成する防水工事の一つです。
液状のウレタン樹脂を、ペンキを塗る要領で塗布し、乾いたら施工完了です。
■ウレタン防水のメリット
- 継ぎ目がない
ウレタン防水はペンキのような液状のウレタン樹脂を塗布していくため、継ぎ目がありません。
防水施工の一つでもあるシート防水とは違い、継ぎ目からはがれたり雨漏りする心配がなく、高い防水性が期待できます。
※シート防水についてどんな防水なのかをこちらの記事で紹介しています。是非ご覧ください。
【ベランダ防水の種類について(ウレタン・FRP・シート)】
- 複雑な形状にも対応できる
ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗布していく工法のため、シート防水のような面倒な切り貼りをしなくても複雑な形状や段差に対応できるというメリットがあります。
- メンテナンスが比較的簡単
ウレタン防水は塗布する工法なので上から重ね塗りできるため、シート防水のように既存の防水をはがしてから張っていくという施工の手間や時間も短縮できます。
作業前に高圧洗浄機などでしっかりと汚れを落とす必要がありますが、シート防水のような廃棄物が出ないので環境に優しい工法といえるでしょう。
- 軽いので家に負担がかからない
ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗り重ねるだけなので軽く、建物に負担がかかりません。
■ウレタン防水のデメリット
メリットの多いウレタン防水ですが、デメリットもあります。
屋根の防水施工を行う際はデメリットもよく確認してから決めましょう。
- 施工完了までに時間がかかる
ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗布するため、しっかりと乾燥させなければ効果が発揮されません。
それに加え、ウレタン樹脂は乾燥が遅く、工事期間が長くなりがちです。
乾燥が早いFRP防水が1~2日程度で済むような施工の場合、ウレタン防水なら4~5日はかかってしまいます。
- 業者によって仕上がりに差が出やすい
ウレタン防水は職人が手作業で樹脂を塗布していきます。
均一に仕上げられるかどうかは職人の腕次第で、ムラがあると本来の防水機能を発揮できません。
また、場合によっては厚みの足りない部分からウレタンが劣化していきます。
そのため、ウレタン防水を依頼する際は実績が多く信頼できる業者を選定することがとても重要です。
- 見た目では仕上がりを判別しにくい
ウレタン防水は、プライマー(下地材)・防水材(ウレタン樹脂)・トップコート(表面保護塗装)の工程があります。
しかし、中には工程を守らず1回塗っただけで済ませてしまうような悪質な業者も存在します。
手抜き作業をされた場合、工事を行っても防水効果が改善されず雨漏りが発生する恐れがあるので注意が必要です。
- メンテナンスの頻度が多い
ウレタン防水は他の工法に比べると耐久性が低く、メンテナンスの頻度が多くなります。
材料としての耐用年数は10~13年ほどですが、防水機能を長持ちさせるには5年に1回程度、表面のトップコートを塗り直さなければなりません。
トップコートが劣化するとウレタン防水層が紫外線や雨水にさらされてしまい、防水機能の低下が早まる恐れがあります。
■ウレタン防水のメンテナンス目安とは
ウレタン防水の耐久年数は10~13年とされています。
この年数が他の防水工法に比べるとメンテナンス頻度が高いという特徴がありますが、具体的にはどれくらいのペースで補修を行ったらいいのでしょうか?
この年数が他の防水工法に比べるとメンテナンス頻度が高いという特徴がありますが、具体的にはどれくらいのペースで補修を行ったらいいのでしょうか?
ここからはメンテナンスが必要な症状を紹介していきます。
- 表面にひび割れ・はがれている
表面のトップコートが劣化すると施工面にひびが入ることがあります。放っておくとトップコートがはがれ、防水層がむき出しになってしまうので早めのメンテナンスが必要です。
- 表面が膨らんでいる
下地が雨水を含んでしまうと表面が膨らむことがあります。この場合はすでに雨漏りをしている恐れがあるため、防水施工だけでなく雨漏りの補修も必要です。
以上の症状を見つけた場合はメンテナンス時期です。
■ウレタン防水の施工法
ウレタン防水には2通りの施工方法があり、それぞれ適した施工面が違うため使い分けが必要です。
では、それぞれの工法についてみていきましょう。
- 密着工法
下地に直接ウレタン樹脂を塗布していく工法です。工程が少ないので初期費用が安く、工事期間も短く済むといった特徴があります。防水施工はしたいけど予算は抑えたいという方にはオススメの工法といえるでしょう。
しかし、下地と防水層が密着するので、すでに雨漏りしてしまっている建物には向きません。
下地に含まれた雨水の逃げ場がなくなり、膨れて雨漏りが再発してしまいます。密着工法は耐久性が高くないため、多くの業者では5~8年のペースでメンテナンスを行うことを推奨しています。
下地に含まれた雨水の逃げ場がなくなり、膨れて雨漏りが再発してしまいます。密着工法は耐久性が高くないため、多くの業者では5~8年のペースでメンテナンスを行うことを推奨しています。
また、密着工法は工程も少なくシンプルなので防水工事を専門に扱っていない業者でもできる施工です。そのため、業者の選定を慎重に行わないと失敗する恐れがあるので注意が必要です。
- 通気緩衝工法
下地とウレタン樹脂が密着しないように、下地に細かい穴の開いた通気緩衝シート(絶縁シート)を張り付けた上からウレタン樹脂を塗布していく工法です。
同時に水分や空気を逃がすための脱気筒も設置するので、下地に含まれていた雨水や空気がシートに溜まり、脱気筒から排出できる仕組みです。
そのため、きちんとメンテナンスをすれば半永久的に持つと言われ、防水工事を専門に扱う業者でなければ施工ができません。
すでに雨漏りをしている建物や築年数の古い建物、面積の広い陸屋根などにはこの通気緩衝工法が適しているとされています。
ただし、シートや脱気筒を設置する分、材料費や施工費がかかるうえに工事期間も長くなるので注意が必要です。
■ウレタン防水を希望の場合は実績の多い業者へ依頼しましょう
今回はウレタン防水について、メリットとデメリットやメンテナンスの目安をご紹介しました。
継ぎ目がなく、きれいな仕上がりが特徴のウレタン防水は、屋根の防水施工にも人気があります。
しかし、施工には技術が必要になるため、業者の選定は慎重に行わなくてはなりません。
また、メンテナンスの頻度も多くなるので、日ごろからこまめにチェックする必要があるでしょう。